疲弊している話

今年も夏が来た。
様々な不安や不満、焦燥、倦怠が灼熱に焼かれてさらにその動作を鈍重にさせているような気がする。

去年に比べて今年は任されることが多くて、それに関してミスキャストだという思いはずっと抱えているけど、人がいないから仕方がない。理解はしても納得はしていないけれど。
個人の負担は許容量を超えていて、本当はもうなにもかも投げ出して知らんぷりしてしまいたい。

セクショントップはこれ以上の負担があるのかと思うとゾッとするし多少彼女に同情するが、彼女はそんな同情なんて受け取らないことは知っているので、心の中で合掌する。
彼女は尊敬に値すると思うけど、別に憧れるとかああなりたいとかは微塵も思わない。
潰れないように頑張ってください、多少なら手助けしてもいいよという感じ。

今回一緒にやることになっている新人2名はそれぞれ違う理由で扱いづらく、また新人2名に対してわたしが欠片も興味が持てず、新人2名にとってわたしは取っ付きづらいためにコミュニケーションも途切れがち、だと思う。
コミュニケーションを取り共同作業をするためにこんなにコストを払う羽目になると思うと、自然と自分で作業を終わらせてしまう。
わたしはほかの誰かに教わった記憶はないし、ただ誰かの姿を見て盗んで吸収してきただけだし、わたしも手本としてどんどん盗んでいけ!という方法がいいと思っているのに、そういうスタイルじゃ育たないタイプの新人らしい。
手取り足取り言葉にして教えてやらないとできないし、やろうとしない。
これがかなり負担で、早々にお手上げした。

代表に責任感が強すぎると言われたところで、それは誤りである上にこれ以外の関わり方を知らないから改善のしようがないし、本当に責任感が強いならセクショントップの彼女のように甲斐甲斐しくあれやこれやと教えてあげて今以上に消耗しているだろう。

任された以上一定水準まではこなすけれど、それ以上は期待しないでほしい。
正直、割に合わない。


この倦怠感は、そんな活動の諸々や活動に付随する人間関係、卒論の進捗の無さ、経済的な余裕の無さ、内定先の顔合わせで目の当たりにした同期達の程度の低さに対する軽蔑やそれらと同レベルに成り下がった自己嫌悪、諸々の連絡が遅いためにひと月先の予定すら決められない苛立ち、本当に色んな感情が渦巻いていて、夜寝付けなくなってしまったり暢気な彼に苛立ってしまったりするくらいには琴線が張り詰めている。

何に対しても苛立ってしまって、疑心暗鬼になってしまって、彼はきっとまた繰り返すと強迫観念に取り憑かれてしまって彼に邪険にしてしまって、リフレッシュした方がいいことはわかるけど、暑いし体は重いしで動く気にもなれない。

彼の裏切りで壊されるくらいなら自分で壊してしまおうかなんて考えてしまう。
どうせまた繰り返す、どうせまた裏切る、どうせまたわたしのことを見下して軽んじている、半ば確信を得たように胸中をぐるぐる回っている。
彼が元より真っ黒ならば、そろそろほとぼりが冷めたと思って再犯に至る頃だと察している。

今月で3年と3ヶ月、彼に裏切られてから8ヶ月が過ぎたけれど、彼に対する猜疑心を忘れた日は1日としてない。

パンドラの箱を開けない勇気を唱え続けてきたけれど、見えないからといって存在していないと確定している訳ではない。
見下され続けて軽んじ続けられて、気付かないふりで仮初の安寧で満足したふりをしてピエロを演じることを選ぶのか、手段を厭わず事実をなにもかも暴いてしまうことを選べば、事実が有ろうと無かろうときっと縁を切ってひとりぼっちにならざるを得なくなるだろう。
もうあんなに痛いのは懲り懲りなのに、自棄なのか達観なのか、もうなにもかも捨ててしまえと思っている。

彼が自ら自身の潔白を証明して見せてほしい、わたしが強要するのではどうせどんなにやっても蟠りが残るのだから。

モルダー、あなた疲れてるのよ